視覚障害に関わる人々のための読書案内(1)

自伝および伝記を中心に 
情報提供 国立特殊教育総合研究所 大内 進

最近、障害についての理解・啓発の動きが活発で、視覚障害への理解も深まってきている感がある。しかし、知識として視覚障害のことを知っていても、実際に視覚に障害のある人々と共に生活したり、日常的に接したりしている人々は限られているのではないだろうか。我が国の視覚障害者の数は30万人ほどといわれているが、全人口に比べたらわずかな割合なのである。

社会のノーマライゼーションの動きの影響もあるせいか、近年、視覚障害に関連する出版物が増えてきた。中には盲導犬関係のように同じような内容のものが次々と出版されるジャンルもあるが、生まれた時からあるいは人生の中途から視覚に障害をもちながらチャレンジ精神で人生を切り開いてきた人々や視覚に障害のある子どもを育てた親の体験記など、視覚障害者のことを知る上で参考になる書物も多く出版されている。情緒的に流れすぎているものもないわけではないが、それでも丹念に読み進めていくと、視覚に障害のある人々と共に生きる上で有用なエピソードには事欠かない。視覚障害者との関わりの深い医療・福祉・教育に携わる者にとっては、これらの書物は視覚に障害のある人々の生い立ちや生き方、心理など様々なことを学ぶ宝庫である。そこで、今回は最近出版された視覚障害者自身によって綴られた自伝的エッセイや伝記を中心に紹介させていただくことにした。

「見えないってどんなこと 24人、それぞれの生き方」

高橋 実監修 一橋出版 1200円

「視覚に障害のある人がどのような生活を送り、どのようなことを考えているのか」一般の人々にも肩肘をはらずに視覚に障害のある人のことを理解してもらいたいというねがいから、本書が企画された。ここでは、監修者らによって選ばれた24人の視覚障害者が、自身の生活や仕事ぶりなどをフランクに語っている。登場する人々は立派に自立し、自己実現を図っている人たちばかりであるが、勉学に励み、子育てにいそしみ、仕事に熱中し、研究活動に力をそそぎ、福祉活動に精を出している24人それぞれの生き方を具体的に垣間見ることにより、見えないこと、見えにくいことがどういうことなのかを知る手がかりを得ることができる。

「中途失明 それでも朝はくる」 

中途視覚障害者の復職を考える会(タートルの会) 1000円 1998.3.20再版

 人生の道半ばにして視覚障害者となった31名の方々が綴る葛藤と再起の記録。

普通の生活を送っていた働き盛りの人が突然視覚障害者となって、悩み、苦しみ、不安を抱えながら茨の道をくぐり抜けて職場復帰や職業開拓を成し遂げてきた貴重な体験談が語られている。いろいろな立場から視覚障害に関わっている人々からの感想も10編ほど寄せられている。中途障害者の職業的自立を如何に効果的に支援するか、この大きな課題を考える上で、医療関係者やリハビリ関係者には参考になる点が多いと思われる。

「音しずく」 

竹下八千代 ミネルヴァ書房 1800円

著者は23歳の夏、海へのドライブの帰り、カーブの向こうからセンターラインを越えて飛び込んできた対向車と正面衝突の事故に遭遇。事故の3ヶ月後に失明を宣告された。リハビリを受け、大学の社会福祉課程に編入し、卒業後福祉相談員となる。その後、結婚し2児の母親となる。本書はこのような道をたどってきた著者の、目の見えなくなったことを受け止めてきた心の軌跡と視覚障害の母としての子育ての記録である。

「弱視OL奮戦記 私、まっすぐ歩いてます」 

芳賀優子著 都市文化社 1600円

先天的に視力が弱く、小中高と盲学校で生活し、大学でスペイン語を学んだのち、民間企業に就職した著者が、健常者中心の社会での体験を綴ったエッセイ。就職活動での差別的な体験、会社での半人前の体験などさまざまな具体的な事例を通して、ロービジョン者にとって現代社会がまだまだ不合理な対応をしていることを浮き彫りにする。鋭い問題定期をしているが、自らもバリアフリー社会実現のために行動している著者の直裁で合理的な姿勢が小気味よい。

「視力のない世界から帰ってきた」

ロバート・V・ハイン著 山田和子訳 晶文社 2300円

著者のロバート・V・ハインは、20歳の頃に将来失明することを予告される。ブドウ膜炎に白内障を併発していたためだ。そして、歴史学者としてカリフォルニア大学で学究生活を送るようになるが、予告通り視力を失ってしまう。その後10年以上「盲人」としての生活を送り、「見える」ことへの希望を忘れかけた頃、手術によって視力が甦った。65歳の時である。本書は、この失明予告から実際の失明さらに視力の回復という得難い経験をした著者の自伝的エッセイである。本書には、失明した人の多くが体験すると思われるエピソードが具体的に描かれている。「見えない世界の豊かさ」を知って、再び「見える世界」に戻ってきた経験から、社会や個人が互いの「異質性」を認めることの重要性を強調している点に説得力がある。

「わたしは、目が見えない。」

スティーヴン・クウシスト 松浦絢子訳 DHC 1700円

著者はアメリカニューハンプシャー州で未熟児として生まれる。未熟児網膜症のため左目にわずかに視力が残っていたが、「見えない」ということを信じたくない母親の期待にそって、目が見える「健常者」のように振る舞い続ける。本書ではそうした振る舞いから生ずさまざまな苦悩の経験が語った自伝的エッセイである。苦しみは、見えないことだけでなく、演技しなければならない点、見える振りをしていることの良心の呵責にまで及ぶ。40歳近くになって著者は盲導犬をパートナーとするようになってやっとこの呪縛から解放されることになる。

「生きてます、15歳。500gで生まれた全盲の子」

 井上美由紀 ポプラ社 1200円

2000年の全国盲学校弁論大会で優勝した著者の手記である。

タイトルが示しているように、超未熟児として生まれた美由紀さんと母親の美智代さんとの二人でぶつかったり励まし合ったりしながら生きてきた、これまでの15年間の日々のかかわりあいの様子が具体的に書かれている。美由紀さん自身の歩みとともに、その関わりの中で母親の美智代さんの波乱にみちた苦難の半生が、時にはシリアスに、時にはユーモアたっぷりに描かれている。

「晴れた日には希望が見える」

デイヴィド・ブランケット著 高橋佳奈子訳 朝日新聞社 2000円

1997年英国のブレア政権の誕生により、英国史上初めての全盲閣僚が就任することになった。教育雇用相デイヴィド・ブランケット氏である。本書はブランケット氏の波乱に富んだ半生の自伝である。彼は先天的に視覚に障害があり、貧しい労働者の家庭に育った。働きながら夜間の大学に通い、在学中に市会議員として政治家の道を歩み始める。強い意志と不屈の精神で自らの信ずる道を歩み、英国下院議員となるまでの過程が、彼を支えた4頭の盲導犬との交流を交えながら綴られている。 

「七重、光をありがとう 全盲のカメラマンから妻へ」 

伊藤邦明著 河出書房新社 1500円

著者は大手重工業で伝記設計を担当し、アマチュアカメラマンとして活躍していたが、行受注の撮影現場で転落事故に遭い、命は取り留めたものの視覚と嗅覚を失ってしまう。50歳の時である。その後会社を退社し、カメラからも遠ざかるが、妻の七恵さんの薦めと支援で再び写真を理始める。その後ピースボート主催の「地球一周旅行」に参加。世界を撮影して回る。その成果を写真展として公開し、盲目のカメラマンとして大反響を呼ぶことになる。本書はこのようにカメラマンとして再起を果たした著者が、妻への感謝の気持ちを文中ににじませながら立派にリハビリを済ませ、新しい生き方を確立した喜びを率直に著したエッセイである。ノンフィクション作家による「フレームのない光景」(中川晶子 主婦と生活社 1600円)という本も発行されている。

「ぼく、見えなくても富士山を撮る 盲導犬アイリーンとともに」  

伊志井桃雲 ポプラ社 1200円

 著者は19歳の時に、スティーブ・ジョンソン症候群で目の粘膜組織が影響を受けて視力が低下し始め、強度のロービジョン者となる。それまでも一般風景の写真を撮影していたが32歳頃から富士山をテーマとした撮影を開始し、そのために富士宮市に転居することにもなる。その努力が認められ個展も成功し、プロの写真家となる。50歳でついに視力を失ってしまうが、写真を撮り続けたいという気持ちを強く持つ。その後盲導犬アイリーンとの出会いにより新たな道が切り開かれ、妻の協力もあり、現在も写真を撮り続けている。

「夢をつなぐ 全盲の金メダリスト 河合純一物語」

澤井清希代治 ひくまの出版 1300円

「夢追いかけて 全盲の普通中学教師 河合純一の教壇日記」

河合純一 ひくまの出版 1400円

 上記2冊は、シドニーのパラリンピックでも水泳選手として活躍した河合純一に関する書物である。彼は幼少から視覚に障害があり中学3年生で完全に視力を失ったが、スイマーとして活躍するようになる。前書では、彼を支援した家族、友人、教師たちの関わりを軸に河合純一の幼少年期の成長過程をたどったドキュメントである。

後書は、大学卒業後 普通中学校の社会科教員として社会人としてのスタートを切った彼の3年間の姿を綴ったものである。おそらく全盲の教員として新人で普通中学校に採用されたケースは彼が始めてであろう。どのように授業をし、どのように生徒と関わっていくのか本書から教えられることは多い。

 視覚障害に関わる人々のための読書案内(2)

情報提供 国立特殊教育総合研究所 大内 進

 今回は1999年から2001年3月までに発行されたロービジョン関連の邦文の書籍について紹介する。

1.色のない島へ 脳神経科医のミクロネシア探訪記(オリヴァー・サックス著、大庭紀雄監訳、春日井晶子訳、早川書房、2000円、1999年5月)

 著者のオリヴァー・サックスは1933年生まれの脳神経科医。専門の脳神経科医として医療に携わるかたわら、作家としてもめざましい活躍をしている。患者たちとの体験をもとしたメディカルエッセイ「レナードの朝」は大ベストセラーとなり、映画化もされているのでご存じの方も多いことと思われる。陸地から離れたミクロネシアには、その「島」という環境のために特異な風土病が残っている。その島の一つ、ピンゲラップ島には、先天性全色盲の人々が集団で暮らしている。オリヴァー・サックスがこの地を訪ね、彼らの日常生活を詳しく観察し、色覚の障害をかかえながらも聴覚や記憶力を生かして恵まれた自然の中で精神的に豊かな生活をしている様子を、暖かい筆致で描いている。本書は2部構成になっており、神経がダメージを受ける原因不明の風土病についても他方でまとめられている。科学的な観察眼をもちながらも、つねに「色盲」の人々の側にたって「人間として生きる」ことの重要性を想像力豊かに訴える文章に安堵感を覚える。人間味の感じられる医学エッセイである。

2.ロービジョンハンドブック(バーバラ・ブラウン・著、簗島謙次・監訳、診断と治療社、3800円、1999年7月)

 ロービジョンケアに関するハンドブック。本書の目的は、「患者に最も基礎的な、あるいは最も完全な水準のサービスを提供することになるアシスタントのために」ロービジョンケアの進め方の各段階を明確にすることにあるということで二つの主題に焦点を合せている。第一は、医学的、あるいは眼科的問題が提起された際の、ロービジョンケアへの導入であり、第二は、視機能低下に対する心理的反応、障害受容の様々な段階にある患者を理解する方法などを含め、視覚障害者のリハビリテーションに関連する内容である。本書ではアメリカのロービジョンケアについて述べられているため、わが国の実状と異なる点もあるが、ロービジョンへの対応を考えていく上で示唆に富む点が多い。付録として、光学基本用語集、ロービジョン関連インターネットアドレス、わが国のロービジョン関連施設一覧が掲載されている。

3.見えない・見えにくい人の便利グッズカタログ(弱視者問題研究会・編、大活字、1500円、2000年8月)

 「弱視者の日常生活を便利に豊かにする道具の情報を一冊にまとめて提供したい」という編著者の思いから実現した書物である。この本には、ルーペや単眼鏡などの補助具、拡大読書器、パソコン用の音声ソフトや画面拡大ソフト、日常生活用品などが紹介されている。弱視(ロービジョン)者にとって利用度が高く、実際に使いやすいグッズがとりあげられている。弱視(ロービジョン)者の見え方は個人差が非常に大きいため弱視者それぞれの見え方に合った道具を選択する必要があり、補装具などの選択も容易ではない。本書では、たんに製品を並べて掲載するのではなく、それぞれの道具の選び方、使い方のこつを弱視者でもある著者らの視点と経験を活かして解説しており、参考になる点が多い。具体的な内容は、以下の通り。

1)便利グッズの章

文房具や日常生活用品、音声を使った製品、拡大本などを写真入りで紹介。

2)ルーペ、単眼鏡、眼鏡などの章  

ルーペ、単眼鏡、弱視眼鏡、遮光眼鏡について、どんなものか、選び方や使い方のこつ、どこで買えるかを説明している。

3)拡大読書器の章 

拡大読書器とはどんな機械なのか、失敗しない読書器選びのためのポイントと使いこなすためのアドバイスをまとめている。ここでは反転の画面を体験するために白黒反転で印刷されている。

4)パソコン活用の章 

視覚障害者がパソコンを使いこなすためのノウハウを、画面拡大ソフトや画面読み上げ用ソフト、活字自動朗読システムや様々な用途のソフトを紹介しながら解説しています。音声ソフト利用希望者のため巻末にテキストデータ引換券がついている。

4.「わたしにもできるロービジョンケアハンドブック残存視覚の有効利用と患者のケア」(新井三樹・編集、メディカルビュー社、6500円、2000年4月)

 本書の執筆者達は、実際の診療の場でロービジョン患者を診ながら、経験を積み重ねケアの方法を確立してきているという。本書には、こうした経験豊かな執筆者それぞれが積み上げてきたロービジョンケアの方法について、「病歴の取り方と患者のニーズ」「視覚の評価」「視覚の有効利用」「生活への応用」「基本的な診察の実際」「疾患別の特徴とアプローチ」などの章に分かれてまとめられている。検査や補装具についても基本的な事項について解説されているが、「視覚障害者とその家族の心理とケア」「ロービジョンクリニックを始めるために」という章も設けられており、より実践的で具体的に家族を含めての心理的ケアやリハビリに役立つような内容となっている。

5.月刊「眼科診療プラクティス61ロービジョンへの対応」(丸尾敏男・特集編集、文光堂、7000円、2000年7月)

 ロービジョンへの対応について、その草創期から中心的な役割を果たしてこられた丸尾敏夫氏の編集により「眼科診療プラクティス」に特集「ロービジョンへの対応」が組まれた。ロービジョンへの対応は、我が国でも古い歴史のある分野であるが、近年、日本ロービジョン学会が発足するなど医学界の関心も高まっていることなどから本特集が企画されたという。総説と解説からなり、総説では、ロービジョンと眼科医の役割、医学および教育の分野でのわが国におけるロービジョン対策の推移が、それぞれ第一人者によりまとめられている。解説は「ロービジョンとは」「ロービジョン補助具の処方」「ロービジョンへの対応」の3部から構成され、それぞれの分野で活動中の方々によって執筆されている。ロービジョンへの補装具、弱視教育、社会や行政の現状がコンパクトにわかりやすくまとめられている。

6.見えにくい子どものための情報ハンドブック(小松聡子・増山由紀子・池田久仁子・編、大活字、2000円、2000年9月)

 本書には、ロービジョンの子どもの生活をサポートする家族、教員、ボランティアの方々に役立つ情報が集められている。「子ども向け便利グッズの紹介」、「ロービジョンについての基本的な解説」、「親たちのよもやま話」、「学校の紹介」、「Q&A」などのほか、盲学校、関係団体、拡大写本グループ、SHOP、バリアフリーな美術館・博物館・資料館、おすすめの本、ホームページなどロービジョンの子どもや保護者に役に立つと思われる情報がまとめられている。

7.拡大読書器であなたも読める!書ける!?選び方・使い方のポイント?(森田茂樹・著、大活字、2000円、2000年9月、22ポイントor16ポイント)

 自らも視覚障害者で、現在4つの病院にてロービジョンケアを担当する著者による、拡大読書器に関する情報をまとめた書物である。拡大読書器を選択する場合や、ロービジョンケアの場で有用な1冊といえる。16ポイント版と22ポイント大活字版が同時刊行されており、ロービジョンの見え方に応じて選択できる。

8.ロービジョンケアマニュアル(簗島謙次、石田みさ子・編集、南江堂、5500円、2000年11月)

 ロービジョンケアの基本的な考え方、視機能検査、ロービジョンのための光学、ロービジョンケアの方法、病態別ロービジョンケアの実際、特殊なロービジョンケア、ロービジョンケアのための知っておきたい知識、ロービジョンケアに関する情報などの内容で構成されている。ロービジョンケア疾患別、年齢別など、いろいろな切り口で紹介している。社会資源の活用やレクリエーションなどについてもまとめられている。 

9.見えにくい人の初めてのパソコン【買い方・使い方入門】(北山恵美子・著、大活字、2800円、2001年1月)

 自らもロービジョンで、パソコン講習会の講師経験のある著者が、ロービジョンの人や高齢で視力が低下した人にとって使いやすいパソコンの選び方、便利なソフト、環境設定・操作の仕方などを紹介した実用的な書物である。ロービジョン読者に配慮して22ポイントの大きな文字が用いられているとともに、操作手順ごとに画面をひとつひとつ大きく表示されていて、読みやすさ見やすさへの配慮がされている。

直接出版社に注文すると、ZoomText体験版やローマ字入力対応表などが入ったCDがついてくる。

10.弱視の人に出会う本((財)共用品推進機構編、小学館、1200円、2001年2月) 

 弱視(ロービジョン)の人の日常の不便さを知ることができる学習マンガ。弱視のおばあちゃんと孫が街で買い物するやりとりを通して、弱視の不便さについての理解・啓発を図る内容になっている。弱視の人の見えにくさの具体例や弱視の人に便利な日常生活用品なども紹介されている。

11.視覚障害者サービスマニュアル2000(近畿視覚障害者情報サービス研究協議会・編、大活字、2,800円、2001年4月)

 視覚障害者に対する図書館サービスをベースに情報サービスのあり方についてまとめられている。点字資料・音声資料の製作のしかた、DAISYとよばれるデジタル録音図書、通信サービスなどのほか、ロービジョンへのサービスとして拡大写本や弱視者サービスの章が設けられており、Q&A形式で基本的なことから実践的な内容までわかりやすく説明されている。

巻末の視覚障害者関連情報機器一覧や点字雑誌一覧、録音雑誌一覧も充実している。

12.私の見え方紹介カード(弱視者問題研究会編集・発行、本体500円) 

 ロービジョンの見え方は、ロービジョン者一人一人異なっているといわれる。この見え方を他人にわかりやすく説明することは容易ではない。このカードはロービジョン者が自分の見え方を整理し、相手に自分の見え方を要領よく簡便に伝えることができるように開発されたカードである。教員・ボランティア・友人など日常的に接している人々にロービジョン者が自分の見え方を理解してもらうためにも活用できる。使用法についての解説書が添付されている。

 非売品であるが次の報告書ではロービジョン者の見えにくいことによって生ずる不便さが調査されている。

13.弱視者不便さ調査報告書<見えにくいことによる不便さとは>((財)共用品機構編集・発行 2000年2月、非売品)

 視覚障害関係の調査では、とかく全盲中心になりがちでロービジョン者の声が反映されにくい。この反省にたってロービジョン者を中心にその見えにくさから生ずる不便さが調査された。本書はその報告書である。全国268名のロービジョン者を対象に、不便さ全般、買い物、レストラン、日用品・調理・洗濯、家電製品、駅、銀行・郵便局、病院などの項目について、不便な点、不便な理由、工夫していることの3点の回答を求めている。調査対象の年齢や障害の程度が多岐にわたっているため、不便な点はさまざまであるが、全体的傾向として、「駅」「表示全般」「バス」などで不便を感じていることが明らかにされている。それぞれの項目における不便さとその理由についてはクロス集計され、その相関がわかるようにまとめられており、工夫点については回答例が具体的に示されている。各項目ごとにコメントが付され、その概要が整理されている。

マトリクス表や文章記述が多いため、読みやすい報告書とはいえないが、ロービジョン者の見えにくさや不便さの実態が把握でき、サービスの改善や対応への配慮などに活用することができる。

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